現代人の9割が新型栄養失調!?対策と症状は?

現代人の9割が新型栄養失調!?対策と症状は?

 

現代人に忍び寄る「新型栄養失調」、「隠れ栄養失調」とは?

 

新型栄養失調とは、カロリーは十分に摂取していても、体に必要なビタミンやミネラル、たんぱく質、食物繊維などの栄養素が不足している状態を指します。

 

「栄養失調」という言葉を聞くと、かつての飢餓や食糧不足を思い浮かべるかもしれません。

しかし現代では、見た目には健康そうでも、必要な栄養素が不足している「新型栄養失調」という問題が増えています。

飢えを感じるわけではないものの、栄養の偏りが体に悪影響を及ぼすため、「隠れ栄養失調」と呼ばれることもあり、今では9割ほどの人が「新型栄養失調」なのでは?とまでいわれているほどです。

 

この栄養失調は、忙しい現代人に深刻な影響を与えており、放置すると慢性的な疲労感や免疫力低下、さらには生活習慣病のリスクにもつながります。

今回は、この「新型栄養失調」の背景や症状、改善方法についてお伝えします。

 

 

 

 新型栄養失調の主な原因

 

「ちゃんと食べている」のに、なぜ新型栄養失調になるのでしょうか?

 

多くの人が「一日3食きちんと食べている」と自信を持って答えるでしょう。

もしくは、「なるべく野菜を摂るように意識している」とも。

しかし、それでも新型栄養失調に陥っている可能性は高いのです。

その理由は、食材や食生活の変化にあります。

 

 

野菜の栄養価低下

現代の農業技術の進化により、野菜の見た目や保存性は向上しましたが、実は野菜の栄養価自体は大幅に減少しています。

 

2017年の文部科学省のデータによると、1950年と2015年を比較すると、ホウレンソウの鉄分は95%も減少。ニンジンのビタミンA82%減少、キャベツのビタミンC49%も減少となっています。

 

 

ここまで栄養が落ちている理由のひとつに、土壌の質の変化があります。

収穫量を増やすための過剰な肥料や農薬の使用により、土壌の健康が損なわれ、土壌疲弊という状態になってしまっているのです。

 

野菜は土から栄養を得るため、土の状態は栄養価に直接影響します。

農地の長期間の利用や過度な化学肥料の使用により、土壌の環境は年々悪化しており、土壌中のミネラルなどの栄養素の減少が進んでいます。

 

その結果として私たちが摂取する野菜の栄養価も低下しているのです。

 

私たちが日頃から意識して野菜を摂取していても、それだけで必要なビタミンやミネラルを十分に摂取することは本当に難しいのです。

 

 

加工食品・超加工食品の摂取増加

忙しい生活の中で、手軽に食べられる加工食品やインスタント食品に頼らざるを得ない人も増えています。

これらの食品は便利ですが、栄養素が偏っている場合が多く、必要な栄養素が不足しがちです。

これらはエネルギー源となる糖質や脂質が多い一方で、必要なビタミンやミネラルが不足している場合が多く、そのため現代人は「カロリーは足りていても(場合によっては過剰)、栄養は全然足りていない」状態に陥ってしまいやすいのです。

 

昨今では物価高騰の影響もあり、前ほど野菜や肉、魚などを十分に買えず、冷凍食品やパスタ、パンなどの炭水化物をメインとした食生活を強いられている人も多くいます。

 

安く食事をするには、栄養の少ない加工食品に頼らざるを得ませんが、栄養素が不足しているため食べても食べても満足感が得られにくく、その不足感をさらにスイーツやジャンクフードで補おうとします。

 

 

しかしスイーツは瞬間的に血糖値を上げ、ドーパミンなどの快楽物質を出しますが、その後血糖値を下げるインスリンが大量に放出されて血糖値が急降下するため、また甘いものが欲しくなってしまいます。

 

そしてジャンクフードは、多量の添加物により、脳の「報酬系」と呼ばれる、快感や満足感を感じる神経回路を強く刺激します。

この報酬系は、本来であれば食事や睡眠などの生命維持活動を喜びや快楽として感じさせる役割を持っています。

しかし、ジャンクフードは砂糖や塩分、添加物などによって、この仕組みを過剰に刺激し、「もっともっと食べたい!」「より大量に食べたい!」と感じさせる反応を引き起こします。

 

つまり、ジャンクフードは依存性が非常に高いということです。

さらに食べれば食べるほど体内のビタミンB群、アミノ酸、マグネシウムなどの疲労回復に必要な成分が消費されます。

 

 

結果、一時的なかりそめの満腹感や満足感が得られはするものの、心身の不調は一向に改善せず、自炊などで栄養のある食事を摂ることからより遠のく… という負のループに陥ってしまいます。

 

過度なストレスや疲労

ストレスがかかった状態になると、ストレスに対応するために必要なエネルギー量は増加し、体内ではたんぱく質の分解も進みます。

抗酸化機能が低下し、ビタミンCEなどが不足しますし、また、ストレス時に分泌されるホルモンの合成には、ビタミンB群、Cが必要となります。

 

さらにビタミンB群が不足すると、皮膚や粘膜、血管に異常をきたし、神経の正常な働きに支障が出るため、精神状態も不安定になります。

 

ストレスが多いというのはそれだけで、ただでさえ現代人に不足しがちな栄養をさらに不足させる一因となります。

 

また、栄養のある食事を摂れていないと、些細なことでもストレスや疲労が溜まりやすくなります。

このようにストレスと食事は相関性が非常に強く、ストレスがかかるとビタミンCなどの栄養素が消費される→体調の悪化→食欲不振→バランスの悪い食生活→栄養素の欠落→ストレスに弱い身体といった悪循環に陥ります。

 

食事とストレス、両方から改善を試さなければなりません。

 

 

新型栄養失調の症状

新型栄養失調は、以下のような体のサインが現れることがあります。

 

疲労感・だるさ:エネルギー代謝に必要なビタミンB群が不足すると、疲れが取れにくくなります。

肌荒れ・乾燥:ビタミンCやビタミンE、たんぱく質が不足すると肌の再生能力が低下します。

風邪をひきやすくなる:亜鉛やビタミンD、鉄分が不足すると風邪をひきやすくなります。

イライラや集中力の低下:マグネシウムや鉄、ビタミンB群が不足すると、精神的なバランスが崩れることがあります。

冷え性:血液循環を支える栄養素の不足。

便秘や消化不良:食物繊維やマグネシウム不足が原因で腸の働きが悪くなることがあります。小麦食品や乳製品も腸内環境を悪化させやすいです。

貧血:鉄分やビタミンB12、葉酸が不足すると、赤血球が減り、貧血が起こります。

めまい:鉄分不足による貧血、ビタミンB群が不足すると脳への酸素供給が減少し、ふらつきやめまいを引き起こします。

肩こり:マグネシウムやビタミンDが不足すると筋肉が硬直しやすくなり、血流も悪化。肩や首のこりを感じやすくなります。

口内炎ができやすい:ビタミンB2や鉄、亜鉛の不足で粘膜の修復が遅れ、炎症が起きやすくなります。不足が続くと頻繁に口内炎ができる原因に。

     

    飽食の時代といわれている現代では、栄養不足という原因に思い至ることは難しいため、隠れ栄養失調の名の通り、漠然と調子が悪い状態が慢性化している人が非常に多いです。

     

     

    新型栄養失調を防ぐには?

    新型栄養失調は食生活の改善で予防・改善することが可能です。

    以下のポイントを意識してみましょう。

     

     

    和食をメインにし、加工食品を少しずつ減らす

    近年食事が欧米化し、食生活のメインが洋食だという方も多いと思います。

    和食は栄養バランスが整っているため、洋食メインの方は取り入れてみてください。

    一汁三菜である必要はありません。旬の野菜とサバ缶や肉を入れる味噌汁にごはんだけでも十分すぎるほどの自炊です。

     

    日本人は毎日のメニューが違わないといけない、という思い込みを持ちがちですが、毎日違うごはんである必要はありません。

    現にドイツやアメリカ、フィンランドなどは基本的なメニューが決まっている家庭も多く、日本のように「日替わり」が基本となっている国のほうが希少かもしれません。

     

    焼くだけ、煮るだけ、1品だけでも立派な自炊ですし、なにより自炊は外食や加工食品のように食べ疲れしません。

    忙しい方は、具材を入れればボタンを押すだけで調理してくれるような調理家電を活用するのもおすすめです。

     

    すべてを一度に変えるのは大変です。

    自炊へのハードルを下げて、間食は果物に変える、夜食をスープや味噌汁に変えるなど、できることから始めましょう。

     

     

     

    サプリメントを活用する

    現代の食生活では、野菜の栄養価が下がっていることから、これまで通りの食生活ではどれだけ頑張って野菜を摂っても、必須なビタミン・ミネラルは賄うことが難しいのが現状です。

     

    病院の血液検査で新型栄養失調と判断された複数の患者さんがマルチビタミン&ミネラル系のベースメントサプリを摂取し続け、鉄やビタミンD、亜鉛の数値が上がり、本人の不調も改善したとのデータもあります。

    その患者さんたちは自分がとびきり健康ではなくても、不健康だとは一切思っていなかったそうです。

     

    それだけ自分ではちゃんと食事を摂って、それなりに健康だと思っていても、体に本来必要なビタミン、ミネラルは圧倒的に足りていないのです。

     

    逆にいえばサプリメントでビタミン、ミネラルを補うようにするだけで不調が改善することは非常に多いです。

    ただし、サプリメントはあくまで補助的な役割であるため、基本は食事から栄養を摂ったうえでの+αとなります。

    自炊は難しい、加工食品はどうしても減らせないという方は、せめてマルチビタミン&ミネラル系のベースメントサプリと、食物繊維を摂れるサプリメントを摂るようにしてみてください。

     

     

     

    おわりに

    現代人に増えている「新型栄養失調」は、食事の偏りやストレス、生活習慣の影響で誰にでも起こり得る問題です。

    見た目には健康そうでも、必要な栄養素が不足していると、疲れやイライラする、風邪をひきやすくなるなどの不調がじわじわと体を蝕んでいきます。

    恐ろしいのはそれがわかりやすく一気には現れないということ。なんとなくの不調は歳のせいかと思われがちです。

     

    しかし食生活を見直し、栄養バランスを意識し、足りないビタミン・ミネラルを補う生活を心がけることで、体調の改善や不調の予防につながります。

    忙しい毎日だからこそ、自分の健康を守るために、まずはできることから始めてみてください。