平均体温が35度の人は要注意!体温UPの秘訣とは?

平均体温が35度の人は要注意!体温UPの秘訣とは?

平均体温が35度の人は要注意!体温UPの秘訣とは?

 

皆さん、「冷え」を感じていませんか?

実は冷えを感じている方は、体温自体が低いことが多いです。

 

体温というものは、健康状態を映し出す重要な指標のひとつ。

一般的には36.5度前後が理想的な体温とされていますが、なんと最近では35度台の低体温の人が増えているといわれています。

この低体温が続くと、免疫力の低下や代謝の低下を引き起こし、さまざまな健康リスクを招く可能性があります。

 

しかし、そもそも「低体温って結局なにが悪いの?」と思われる方も多いと思います。

なぜ低体温が問題となり、簡単に体温を上げることができないのか? 

 

体温にだって個人差がある

まず皆さんは日本人の平均体温をご存知でしょうか?

実は、日本人の平均体温は36.89±0.34といわれています。

驚くことに、37度は日本人の平均的な体温の範囲に入っているのです。意外と高い!!

 

それでも平熱が37度の人がいる一方で、同じ37度の体温でも「熱が出ちゃった…」と捉え、実際に体調がすぐれないと感じる人がいるのはなぜなのか。

 

それは身長や体重に個人差があるように、体温にも個人差があるからなんです。

 

一般的に平均体温は36.89度とされていますが、実際には35度台から37度台まで、人によって幅があるのが現実。

平熱が人それぞれ異なるために、発熱と判断する基準も異なるのです。

だからこそ、36度後半でもかなりしんどい人もいれば、いやいやそんなの気合いで乗り切れるでしょ!という人がいたりするんですね。

 

 

 

年齢によっても体温は変化する

さらに注意すべき点が、人は生涯同じ平熱ではないということ

肉体と同じように、年齢とともに体温も変わっていきます。

 

例えば、乳幼児は一般的に体温が高めですが、成長するにつれて、体温は徐々に安定していくといわれています。新生児は体温がものすごく高かったりしますよね。

一方、高齢になると、体温は低下する傾向があります。

 

このように年齢によって平熱は大きく異なるため、以前37度だった平熱も、今ではより低くなっている可能性があるんです。

37度だから平熱か。大丈夫だろう」と思っていても、実際には、今その体温が「発熱」を示しているかもしれません。

 

平熱はライフステージによっても変化するので、自分の体調の異変に素早く気がつくためためにも、ぜひ今の自分の正確な平熱を把握してみてください。

 

 

冷えこそが万病の元

では実際、低体温の状態が続くとどのようなリスクがあるのでしょうか?

 

▼免疫力の低下:体温が1度下がると、免疫力は約30%低下すると言われています。これは風邪や感染症にかかりやすくなるだけでなく、長期的にはがんなどの重大な病気のリスクも増大する可能性があります。

 

▼代謝の低下:体温が低いと基礎代謝も低くなり、エネルギー消費量が減少します。これにより、体重の増加や疲れやすさを感じることが増えるでしょう。

 

 

実は体が冷えるだけで、感染症、うつ病、糖尿病など、代謝に関わる問題すべてに影響します。

 

例えば、免疫細胞が病原体のところまで届かないと感染症にかかりやすくなりますし、がんもできやすくなります。

また、脳内のセロトニンという神経伝達物質は脳で作られますが、このセロトニンが不足すると、うつ病になる可能性もあります。

 

各種ホルモンはわずかな量でも重要な働きをしますが、その他にも、女性ホルモンの合成が悪くなれば生理不順や睡眠障害を招き、インスリンの合成が悪ければ糖尿病になるなどの負の連鎖も考えられるのです。

 

低体温はがんのリスクとも密接に関係しています。

新潟大学名誉教授の免疫学者、安保徹先生は、がん細胞が好む環境として「低温」「低酸素」「血液の酸性化」を挙げています。

 

低体温は血流を悪化させ、酸素供給が不十分な状態を作り出します。

これががん細胞の増殖を助長し、免疫力の低下を招く要因となるのです。

実際、50年前と比べて平均体温が1度低くなったことと、がんによる死亡数が約3倍に増えたことは無関係ではありません。

 

もちろん体温が低いからといって急に病気になるわけではありません。

かといって、放置すればじわじわとその影響が蓄積して、本当に死に至るような病気になってしまいかねないのが低体温の怖いところ。

 

 

なぜ細胞の働きが弱まってしまうのか

 

体温が下がると血液の温度も下がります。

そうすると血液の粘度が上がり、血流が悪くなります。

血液は冷えればドロドロ、温まればサラサラになるので、冷えるとそれだけで血流が滞ります。

 

血液はさまざまなものを運んでいます。

たとえば赤血球は酸素を運んでいますし、白血球などの免疫細胞も身体中をめぐって病原体やがんをやっつけています。

加えて、血漿は水分や栄養分を運搬しています。

この流れが滞ると、体の各細胞は酸素やエネルギー不足になり、働きが弱まってしまうのです。

 

冷えは、体中の細胞の働きを悪化させかねません。

細胞の働きが悪化すれば免疫力も下がり、それだけでも病気にもかかりやすくなるのです。

 

 

なぜ現代人は体温が下がったの?

現代人の体温低下は、いくつかの要因が重なっています。

 

まず、冷たい飲み物を一年中多く摂取することが挙げられます。

冷蔵庫で約4℃に保たれた飲み物を飲むと、体温との大きな温度差をカバーするために、それだけで多くのエネルギーが消費されます。

 

さらに、エアコンの普及により、暑さや寒さに対して体が順応する力が弱まり、自分で体温を維持する必要が少なくなっていることも影響しています。

特に若い世代ではこの傾向が顕著です。

 

また、筋肉量の減少も一因です。

交通機関の発達やデスクワークの増加で、体を動かす機会が減り、筋肉が基礎代謝の4割を担っているため、筋肉が減ることで体温を維持する力自体が低下しています。

 

そしてストレスも冷えの原因です。

短期的には体温が上がるものの、長時間のストレスにより血流が悪くなり、体温が下がります。

 

東京大学の田坂定孝教授が行った調査では、50年前に比べて日本人の平均体温が約1℃低下しており、これは筋肉量の減少や運動不足が原因とされています。

このように、現代のライフスタイルそのものが実は冷えを引き起こす一因となっているのです。 

 

 

体温を上げるための具体的な方法

それでは最後に、日常生活に取り入れやすい体温UPの秘訣をご紹介します!

 

▼湯たんぽを太ももの上に置いて温める

効率よく温めるためには血流の多い場所を選ぶのがポイント。

寝る前のリラックスタイムや座りっぱなしの仕事中などに行ってみてください。

 

▼「首」を温める

顔の下の首のほか、手首や足首などには太い動脈が走っているため、より血液を温めやすくなります。

 

また、血液だけではなく、交感神経にも注目してみましょう。

日中の緊張状態では、主に交感神経が働いています。

その一方、腰の仙骨には、「休め」の指示を出す副交感神経が集中しています。ですから、この部分を温めると血管が開いてくることが期待できます。

実際に腰を湯たんぽなどで温めると効率よく体温が上がってきますよ。

 

 

 

▼筋肉量を増やす運動を取り入れる

やっぱり体質改善には筋肉をつけることが一番!

筋肉は体温を生み出す重要な役割を果たしています。

筋肉量が増えれば基礎代謝も上がり、自然と体温も上昇します。

 

日本人はもともと農耕民族ですが、農作業をしていた時代に比べ、現代人の生活は運動量が圧倒的に足りません。

ウォーキングや軽い筋トレを毎日続けることで、体温を徐々に上げていくことができますが、それでも荷が重い方は「軽めに、ついでに」でできることから体を動かしてみてください。

 

 

・トイレに行くたびにスクワットをする

・髪を乾かしながらかかと上げ運動をする

・帰りに少し寄り道をして多めに歩くようにする

 

 

▼体を温める食べ物を摂る

体を温める作用のある食材を積極的に摂りましょう。

冷たいジュースやお茶も避けるのがベター。

 

・冷えた水ではなく、白湯、もしくは常温の水にする

・生姜やにんにくを味付けや汁物に足す

・納豆や豆腐をプラスする

・ごぼう、にんじんなど根菜を摂る

 

また、ビタミンB群や鉄分を多く含む赤身の肉や緑黄色野菜なども血流を改善し、体を内側から温める助けとなります。

 

 

▼お風呂で体を温める

シャワーだけで済ませず、湯船にゆっくり浸かる習慣をつけましょう。

3840度のお湯に1520分ほど浸かることで、体全体が温まり、体温が上がりやすくなります。

 

 

 

まとめ

冷えは不快さだけでなく、血液の流れを悪化させさまざまな体の不調を引き起こす厄介なもの。

逆に体を温めれば血流は改善されるので、やって損はありません。

お金がかからないだけでなく、冷えを改善させ、将来の病気を予防することで、将来の医療費まで削減できる。

「病気が発症する前に手を打つ」。

日頃から体温を高める工夫をぜひこの秋から取り入れてみてください。

 

 

 

 

※出典:田坂定孝ほか、健常日本人腋窩温の統計値について、日新医学、44-12(1957),635-638