睡眠の質とは?睡眠の質を上げる方法や睡眠の質が悪くなる原因を解説!

睡眠の質とは?睡眠の質を上げる方法や睡眠の質が悪くなる原因を解説!

心と体の健康を保つために欠かせない「睡眠」。十分寝たのに疲れがとれない、朝すっきり起きられない…そんな経験はありませんか。良い睡眠はただ長く眠れば良いというわけではなく、「睡眠の質」が重要です。

そこで今回は、睡眠の質の概要や睡眠の質を下げる原因、睡眠の質を上げる方法を解説します。

 

 

睡眠の質とは

睡眠の質とは、どれだけ深く、安定した眠りが得られ、心身の回復につながっているかを示すものです。

睡眠の質は、睡眠時間だけではありません。

重要なのは、眠っている間に脳や体がしっかりと休まり、翌朝すっきりと目覚められるかどうかです。

睡眠の質を高めることは、気分の安定や集中力、健康維持にも大きく関わっています。

 

 

レム睡眠とノンレム睡眠

睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という種類があり、睡眠中は交互に訪れます。

レム睡眠のレムは、「Rapid Eye Movement」の頭文字をとった「REM」から来ています。この「Rapid Eye Movement」は急速眼球運動という意味で、レム睡眠中は意味通り眼球が素早く動いている状態です。

レム睡眠中は脳が活発に動き、記憶の整理・定着が行われます。

 

一方で、ノンレム睡眠は、「REM」の前に、否定を表す「Non」をつけた「Non-REM」となります。ノンレム睡眠は、レム睡眠とは逆で脳がしっかり休んでいる状態です。

睡眠は、最初は目が動かないノンレム睡眠から入り、眠りに入ったらそこから目が動き出してレム睡眠へと変わり、夢を見るのが一般的です。

質の良い睡眠をとるには、ノンレム睡眠とレム睡眠が約90分の周期で交互に訪れるサイクルが重要です。

 

参考文献厚生労働省「生活習慣病などの情報 休養・こころの健康 用語一覧」

 

 

 

 

睡眠の質が悪くなるとどうなる?

睡眠は、心と体の健康を支える大切なものです。睡眠の質が低下したり、慢性的な睡眠不足が続いたりすると、さまざまな不調を引き起こす原因になる可能性があります。

ここでは、睡眠の質が悪化することで起こりうる代表的な影響を見ていきましょう。

 

 

注意力・集中力の低下につながる

十分な睡眠がとれないと脳の働きが鈍くなり、日中の注意力や集中力が低下する可能性があります。

その結果、仕事や勉強でのパフォーマンスが落ちたり、うっかりミスが増えたりと、作業効率にも影響を与えるでしょう。特に、長時間の運転や複雑な作業を要する仕事では、重大な事故やトラブルにつながるリスクも無視できません。

 

 

肥満などの生活習慣病につながる

睡眠の問題が慢性化すると、ホルモンバランスが乱れ、食欲をコントロールする働きにも影響が出ます。

その結果、過食や肥満の原因となり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を発症する可能性が高まります。また、睡眠の質が悪いと免疫力の低下につながる可能性があり、風邪や感染症にかかりやすくなるなど、日常生活に支障をきたすケースもあるでしょう。

 

 

メンタルにも影響する

睡眠の質が悪い状態が続くと、精神面にも影響してきます。不眠はうつ病や不安障害などの精神疾患のリスクを高めることが、さまざまな研究で明らかになっています。

ストレスに過敏になったり、感情のコントロールが難しくなったりすることもあるため、心の健康を保つうえでも良質な睡眠が必要です。

参考文献:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」
 

 

 

 

睡眠の質が悪くなる原因

睡眠の質が悪くなる原因として、さまざまな理由が挙げられます。

 

ストレスによる影響

日々の仕事や人間関係などでストレスを感じると、体は緊張状態になり、自律神経のうちの「交感神経」が優位になります。

交感神経が活発になると、心拍数が上がり、脳が覚醒した状態が続いてしまい、リラックスして眠ることが難しくなります。

このような状態では、寝つきが悪い、眠りが浅いなどといった睡眠の質に大きく影響する可能性があります。

 

 

生活習慣の乱れによる影響

夜遅くまで起きていたり、寝る直前に食事をとったりなどの生活習慣の乱れは、体内時計のリズムを狂わせる原因となります。

体内時計が乱れると、脳や体が睡眠モードに切り替わりにくくなり、寝つきが悪くなる、目覚めが悪いなど睡眠の質が低下するおそれがあります。

良質な睡眠を得るには、一定のリズムを保った生活が重要です。

 

 

お酒やタバコなどの嗜好品による影響

アルコールやタバコ、カフェインといった嗜好品には、覚醒作用があり、睡眠の質が悪くなる可能性があります。

例えば、アルコールを摂取すると一時的に眠くなるものの、実際には睡眠を浅くし、途中で目が覚めやすくなる原因になります。また、タバコに含まれるニコチンには交感神経を刺激する作用があり、アドレナリンの分泌を促すため、寝つきが悪くなってしまうこともあります。

カフェインも同様に、覚醒作用が長時間続くため、夕方以降の摂取には注意が必要です。

 


運動不足・加齢による筋力の低下

運動不足や加齢により筋力が低下すると、睡眠の質に影響するといわれています。例えば、筋力が低下すると、体温調整がうまくいかず、深部体温が下がらず寝つきが悪くなるとされています。

また、筋力が低下していると代謝やホルモンの分泌に関わる成長ホルモンが出にくくなります。この成長ホルモンにも睡眠と深い関わりがあります。

 

成長ホルモンはノンレム睡眠中に分泌されますが、筋肉量が少ないと疲労がたまりにくく、深い眠りに入りにくくなります。

 

寝てもしっかりと休んだ気にならない原因になってしまうことも考えられます。

他にも日光・運動不足により、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌リズムが崩れる可能性があり、寝つきが悪くなることがあります。

 

 

 

ブルーライトによる影響

スマホやタブレット、パソコンの画面から発せられるブルーライトには、脳を刺激して覚醒状態にする作用があります。

寝る直前まで画面を見続けていると、体内の睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌が抑えられてしまい、眠れなくなったり、眠りが浅くなったりする可能性があります。

 

 

睡眠環境による影響

寝室の温度や明るさ、騒音など、睡眠を取り巻く環境も大きな影響を与えます。

部屋が暑すぎたり寒すぎたりすると、体が快適な眠りの状態に入りづらくなります。

また、明るい照明や外の騒音がある環境では、脳が眠る準備を整えることができず、深い眠りに入ることが困難になります。快適な睡眠を得るためには、静かで暗く、適度な温度・湿度を保つことが大切です。

 

 

 

 

睡眠の質を上げる方法とは

睡眠の質を上げることは、健康を守ることにつながります。ここでは、睡眠の質を上げるといわれている方法を解説します。

 


日光を浴びる

睡眠の質を上げる方法として、まず日光を浴びることが挙げられます。朝日を浴びることで、体内時計がリセットされます。そのため、睡眠や覚醒リズムが整い脳の覚醒度が上昇します。

日中に日光を浴びると夜間のメラトニン分泌量が増え、体内時計が調節されることで、入眠が促進されます。


 


朝食をとる

朝食をとることで、体内時計を調整できるといわれています。1日の生活リズムにメリハリが生まれることから、朝食をとることが大切です。

 

連コラム:栄養バランスの良い朝食とは?朝食の重要性と簡単につくれる朝食レシピ

 

 

 

適度な運動を行う

日中に体を動かすことで、夜の寝つきが良くなるとされています。また、適度な運動は熟睡感が向上するでしょう。ストレスの解消にもなるため、無理のない程度に有酸素運動などをとり入れることをおすすめします。

運動により筋肉をつけることで、日中の活動量の増加にもつながります。

また、成長ホルモンは深い眠り(ノンレム睡眠)の間に出るといわれているため、筋肉がある人ほど疲労がたまりやすく、成長ホルモンが「出やすい状態」をつくれます。

ただし、寝る直前の運動や激しい運動を長時間行うことは逆効果となってしまうため、注意しましょう。

 

 

寝る1時間前に入浴する

人間は、体温が下がると眠くなるといわれます。入浴し一度体温を上げることで、その後、体温が下がることで入眠しやすくなります。

そのため、寝る1時間前に入浴するのが理想です。 

 

 

就寝前はスマホ・タブレット等の使用は控える

上述でも解説した通り、スマホやタブレットといった機器から発するブルーライトは、睡眠を妨げるといわれています。

そのため、スマホやタブレットはできるだけ寝室に持ち込まないようにしましょう。

寝る1時間前からスマホやタブレットは使用を避けるのが理想です。


 

 

睡眠環境に気をつける

温度は低くても高すぎても睡眠の妨げになるおそれがあるため、快適な温度や湿度になるよう調整しましょう。

騒音や明るさも睡眠に影響するため、不安に感じない程度に暗くし、静かな環境で就寝することも大切です。

 

また、枕が高すぎたりマットレスが自分に合っていなかったりすると、睡眠に影響する可能性があります。枕は、立ち姿勢に近い状態に保てる高さにするようにしましょう。

マットレスや敷き布団の硬さは体型等によって異なるため、自分の体型にあった寝具を選ぶことをおすすめします。

 

参考文献:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」

 

 

 

まとめ

今回は、睡眠の質に関して解説しました。

睡眠の質が悪くなると、注意力や集中力の低下や体と心の健康に関わってきます。

寝つきが悪い、眠りが浅いと感じている場合、生活リズムを整え、日光を浴びたり適度な運動を生活にとり入れたりして、睡眠の質を上げることを意識しましょう。